街短歌物語

短歌と物語です

タキシードのタクシードライバー〜街短歌物語〜

メイ子

〜楕円形

 銀色の影

 ビルの上

 ありゃユーフォーだ

 みんな逃げろや〜


江戸袋南湾(えどぶくろ なんわん)は

きょうもタキシード姿で

タクシーを走らせていた。


・・・・・・・・・・


客は降りていったが、ドアの

向こうには人だかり。

「ありゃユーフォーだ、みんな逃げろや」

と聞こえた。


「ハハハ…何言ってるんだ」


しばらく、ひとりタクシーを走らせて

いたが


「あれ?」


道前方の空に楕円形の影が…


「アッチャー!マジっすか?」

南湾は角を曲がりまた角を曲がって

逃げた。。。

水色の空〜街短歌物語〜

メイ子

水色の空〜街短歌物語〜


長雨が去ったあとの

晴れの朝。

日陰からは

元気よく虫の声。


南北の裏通りを

北に向かう

安川兼高(やすかわ かねたか)。


アパートの前の

トネリコの木の下。

あちこちに黒い粒。


ここで安川は一句。


〜アパートの

トネリコを食う

虫の糞〜


空も北の空の色は

淡い水色。


「ちょうど風の温度くらい

の空の色だ…」安川。


そこへ突然

「さっきの俳句も素敵ですが

いまのひとことも

いいですね」。


「おお!」安川。


派手な銀色のスーツ姿は

怪人灰野(かいじん はいの)。


「おや、こんな早くから珍しい…」安川。

「空の色に惹かれましてね」灰野。


・・・・・・・・・・


〜黒い粒

 アパートの前

 朝の道

 トネリコの葉に

 虫はいるかな〜